経営と暮らしの羅針盤
~ 創造する楽しさが成長へ ~
コロナが終息に向かい、日々の生活、仕事に、のびのび感が感じられます。皆様に、いいエピソードをご紹介することで、さらに元気になっていただきたく思います。
経営学者のドラッカーが聞いた話として、ある本に載っていました。
オーケストラのクラリネット奏者が自身の演奏にもうひとつ納得がいかず、指揮者に相談したところ、一度客席に座って音楽を聴いてみるよう、勧められました。そして、そこで本当の音楽を聴いたそうです。それ以来、上手に演奏するのではなく、音楽を創造するようになりました。これが真の成長である、とドラッカーは言っています。やり方を変えたのではない、意味を与えたのだ、と。
演奏する音楽も変わっていったことでしょう。
ドラッカーの話はここで終わっていますが、私はもうひとつ大きな意味があったのではないかと、想像しています。それは、表現する、創造することは人の内からの自然な発露であり、つくることの楽しさに再び目覚めたのではないかと。上手に演奏することに集中するあまり、音楽を楽しむ、味わうことを忘れてしまっていたようです。
“創造する”の原形である“つくる”ことの楽しさは誰もが経験しています。幼児のころ、砂浜で山、トンネルを、粘土で怪獣をつくるなど、我を忘れて夢中になっていました。子供の“つくる”と大人の“創造する”は意味あいが少し違うかもしれませんが、つくることの底辺にある楽しさは同じはずです。日々の仕事、生活、勉学に“創造する”という意味を与えることで、楽しさを再発見し、成長への道を歩んでいけるのではないでしょうか。